世界的な「ＢＴＳ」旋風、Ｋ－ＰＯＰの「ヒットマン」が仕掛ける

世界的なＫ－ＰＯＰブームの立役者の１人で韓国エンターテインメント業界のヒットメーカーとして知られているが、プロデューサーの房時赫（パン・シヒョク）氏だ。

2018年のビルボード・ミュージック・アワードに登場したＢＴＳ（18年５月20日、ロサンゼルスで）

Photographer: Kevin Winter/Getty Images

ロンドンの９万人収容可能なウェンブリースタジアムで今年行われたコンサートは、チケットが１時間半で売り切れた。韓国で「ヒットマン」と呼ばれる房氏とビッグヒットも乗ったＫ－ＰＯＰの20年にわたる隆盛の中で、ＰＳＹ（サイ）の「江南スタイル」など世界的大ヒットも生まれた。韓国コンテンツ振興院（ＫＯＣＣＡ）によると、業界の規模は今や50億ドルだ。

ビッグヒットは2017年、新規株式公開（ＩＰＯ）の可能性を探った。だが房氏は当時、上場より先に会社を大きくし、もっと持続可能な制作システムを確立する必要があると判断した。房氏に次ぐ株主２位は、同氏のいとこが率いるゲーム会社のネットマーブルだ。

房氏はビッグヒットの普通株49％を持つ。ブルームバーグ・ビリオネア指数は、「ＥＸＯ（エクソ）」などボーイズバンドが所属するエスエム・エンターテインメントや「ＴＷＩＣＥ（トゥワイス）」を擁するＪＹＰエンターテインメントなど、同業上場企業の18年の財務諸表や株価収益率（ＰＥＲ）などに基づいて、房氏の資産価値を算出した。

房時赫（パン・シヒョク）氏

Source: Big Hit Entertainment

ビッグヒットの当局への届け出によれば、同社の売上高は18年に前年比で倍以上の2140億ウォン（約208億円）に膨らんだ。房氏とビッグヒットはこの記事に関してコメントを控えた。

房氏がインタビューに応じるのはまれだが、17年にはブルームバーグに対し自身の成功について「ハッピーだが、同時に非現実的にも感じる」と語っていた。

米国のヒップホップのファンで曲作りもしていた房氏は20代で音楽業界に入り、ＪＹＰで多くのヒット曲を手掛け、05年にビッグヒットをスタートさせた。創業当時は仕事がなく破産しそうにもなったと房氏はインタビューで打ち明けている。

ＢＴＳは昨年、メンバーの１人が原爆Ｔシャツを着ていたことで日本で怒りを買うことになったが、今Ｋ－ＰＯＰ業界を揺るがしているセックス・腐敗スキャンダルには巻き込まれていない。人気が広がるにつれ、ＢＴＳはコカ・コーラやプーマ、現代自動車などとブランドアンバサダー契約を結んだ。

ＢＴＳ旋風は米国にも吹きつつある。今週末には「サタデー・ナイト・ライブ」に初出演し、ロサンゼルスで５月１日に行われる「ビルボード・ミュージック・アワード」授賞式にも登場予定だ。

房氏は17年のインタビューで、ＢＴＳがテイラー・スウィフトやビヨンセといったアーティスト並みに稼ぐことができるかどうか尋ねられた際、「もちろんだ。僕が正しい判断をしさえすればね」と答えていた。