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概要:仏ルノー<RENA.PA>はフィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)<FCHA.MI>との経営統合案を優先し、日産自動車<7201.T>との経営統合を見送る可能性がある。ルノーとの統合案に反対している日産の西川広人社長は、ルノー・FCA統合案には今のところ前向きのようだ。ただ、FCAが参画すれば、世界販売首位に躍り出るグループ内での日産の影響力は、さらに低下する恐れがある。日産は難しい判断を迫られそうだ。
[東京 29日 ロイター] - 仏ルノー(RENA.PA)はフィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)(FCHA.MI)との経営統合案を優先し、日産自動車(7201.T)との経営統合を見送る可能性がある。ルノーとの統合案に反対している日産の西川広人社長は、ルノー・FCA統合案には今のところ前向きのようだ。ただ、FCAが参画すれば、世界販売首位に躍り出るグループ内での日産の影響力は、さらに低下する恐れがある。日産は難しい判断を迫られそうだ。
<FCAは将来も日産との統合求めず>
FCAが求めているルノーとの経営統合の大きな狙いの1つが、ルノーだけでなく、ルノーと企業連合を組む日産と三菱自動車(7211.T)との協業だ。FCAは電気自動車(EV)や自動運転など、次世代技術で先行する日産や三菱自も含めた4社による相乗効果を見込んでいる。
ただ、統合案に詳しい関係筋によると、今回の提案でFCA側はあくまでもルノーとの経営統合を目指しており、将来の日産との統合まで求めていない。その関係筋は、ここ数カ月間のルノーと日産、三菱自との関係は「おそらく誰もが望むほど建設的ではない」と指摘。FCAはルノーに対し、日産との経営統合は追求しないほうがいいとアドバイスするだろうとも話している。
ルノーはFCAとの経営統合案の検討を優先し、これまで強く求めてきた日産との統合案を後回しに、あるいは撤回する可能性がある。もしそうなれば、ルノーとの統合に強く反対してきた西川社長にとっては、想定外の「追い風」にもなる。
FCAとルノーが経営統合案を検討すると発表した27日夜。西川社長は都内で記者団に対し、この統合案について「アライアンス(企業連合)の幅は、広がる方がいい。全体としては将来に向けてポジティブな話だ」と笑顔を見せた。
<蚊帳の外だった西川社長>
だが、統合案発表までの舞台裏をみると、親子関係でアライアンスも組むパートナー同士であるにもかかわらず、ルノーと日産の間には他人のような距離感があることもあらためて浮き彫りになった。
ルノーとFCAは、今春ごろから今回の協議を水面下で進めていた。だが、関係者4人によれば、西川社長がこの計画を把握したのは両社による発表のほんの数日前。
関係者1人によると、西川社長はルノーの取締役も務める山内康裕・最高執行責任者(COO)を通じて初めて計画のうわさを耳にした。ルノー側から計画に関する正式な通知を受け取ったのは、交渉が報じられるわずか1日前だったという。
統合案では、FCAは当然ながら日産との協業も想定している。もっと事前に相談があってもいいところだが、先の4人とは別の日産関係者は「西川社長を含め、日産は蚊帳の外だった」と話している。
ルノーのジャンドミニク・スナール会長とティエリー・ボロレCEOは、28日に来日。FCAとの経営統合案の説明や日産とルノーとの経営統合を巡る交渉のほか、日産・ルノー両社の関係改善も図るべく、29日に日産、三菱自との3社トップ会談に臨む。
<日産の地位低下>
FCAとルノーの経営統合案では、両社の既存株主が50%ずつを保有する持ち株会社を設立する。FCAの登記上の本社所在地はオランダ。FCAの提案では、ルノーとの経営統合が実現すると、新たな持ち株会社の本社もオランダに置く計画だ。
現在の日産のルノーへの出資比率は15%。フランスの法令上、議決権はない。FCAとルノーが統合すれば、日産の出資比率は7.5%に半減するが、新会社の本社がオランダに置かれるため、フランスの法令の効力が及ばず、日産には新たに議決権が発生する。
持ち株会社には日産からも取締役1人が就任する見込みだが、持ち株会社の会長にはFCAのジョン・エルカン会長が就任し、ルノーのスナール会長がCEOに就く予定だ。
日産はこれまで販売規模(約551万台)と業績でグループでの存在感を示してきたが、業績は悪化の一途。FCA(約484万台)が加われば、グループの販売台数は1500万台超と世界首位になる。4社はあらゆる面で「規模の経済」を享受できるが、持ち株会社での力関係なども考慮すると、「日産の立場と影響力はFCAよりも弱くなる」と、自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは指摘する。
日産のスポーツ多目的車(SUV)がFCAのジープ・ブランド「チェロキー」と競合するなど、北米におけるトラック系市場でFCAと日産のモデルが競合していることもネックだ。
こうした課題が生じるにもかかわらず、ルノーがFCAとの経営統合案を前向きに検討するということは「ルノーは必ずしも日産と運命共同体である必要はないという強いシグナルを送っている」――。ある自動車業界アナリストは、こうした見方も示している。
FCA・ルノーの統合交渉では、ルノーの経営陣に近い関係筋は、日産は経営の自律性をあきらめて規模を取るか、規模をあきらめて自律性を維持するかの選択を余儀なくされるかもしれない、と話している。
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