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概要:21日の米株式相場は続伸。金融市場の最近の混乱が本格的な危機につながるとの不安を当局が払拭(ふっしょく)に努めているため、銀行株を中心に買いが入った。ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるCBOEのボラティリティー指数(VIX)は急低下した。
21日の米株式相場は続伸。金融市場の最近の混乱が本格的な危機につながるとの不安を当局が払拭(ふっしょく)に努めているため、銀行株を中心に買いが入った。ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるCBOEのボラティリティー指数(VIX)は急低下した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4002.87 | 51.30 | 1.30% |
ダウ工業株30種平均 | 32560.60 | 316.02 | 0.98% |
ナスダック総合指数 | 11860.11 | 184.57 | 1.58% |
銀行セクター混乱の収拾を図る協調行動は少なくとも今のところ、うわべだけでも秩序を取り戻している。VIXは2営業日としては昨年5月以来の大幅低下となった。22日の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定について、短期金融市場では25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが予想されている。
データトレック・リサーチの共同創業者、ニコラス・コラス氏は「金融政策が劇的に180度転換されるとの予想は弱まっている。足元の政策決定に対する市場の予想は現在、可能なものの範囲内にある。それは良いニュースだと言える」と述べた。
S&P500種株価指数は節目の4000を突破し、200日移動平均線を大きく上回った。VIXは先週、30を昨年10月以降で初めて上回る場面があったが、この日は21前後まで低下した。KBW銀行株指数は全構成銘柄が上昇。地銀ファースト・リパブリック・バンクは約30%高と、上場来で最高の上昇率を記録。JPモルガン・チェースがファースト・リパブリックの支援を巡り新たな案を提示したことが好感された。
ファースト・リパブリック株が急伸、前日に上場来安値-地銀指数上昇
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は最近の株価上昇について、少なくとも2つの見方ができるとして、結論付けることに注意を促した。「1つ目はこの小さな危機を株式市場が受け流しているとの見解で、この問題が過ぎれば、経済(とその結果としての業績)がかなり成長するとみている。もう1つは状況がなお不確かで、当局が金融システムに大規模な短期流動性を注入しているために株価は短期的に下落し得ないという考えだ」と指摘した。
ストラテジストの不安は高まりつつあり、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、信用収縮リスクが著しく高まっているとの認識を示している。S&P500種は3800で底入れする可能性があるものの、4100から4200への反発局面で投資家は戻り売りを出すべきだと、BofAのマイケル・ハートネット氏は21日のリポートで指摘した。
悲観的な見方を強める投資家にとって、根強いインフレに代わりシステミックな信用イベントが市場に対する主要なリスクとして意識されていることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の最新のグローバル調査で分かった。
3月10-16日に実施された同調査期間中に運用担当者は米シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクの経営破綻を目の当たりにし、スイスのUBSグループによる歴史的な買収を前にクレディ・スイス・グループの混乱を注視していた。景気後退の可能性が昨年11月以来再び高まりつつあり、同調査では今後12カ月で景気減速を予想する向きが差し引きで42%に上った。
資産運用会社にとって最大の不安、物価から信用イベントに-BofA
米国債
米国債相場は続落。通常、リスクが低い投資とみられる2年債利回りは一時21bp上昇し、4.18%を付けた。短期国債の利回りが急激な動きをしていることも懸念材料となっている。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.72% | 5.8 | 1.57% |
米10年債利回り | 3.60% | 11.7 | 3.36% |
米2年債利回り | 4.17% | 19.2 | 4.83% |
米東部時間 | 16時54分 |
ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マット・ミスキン氏は米金融当局が景気のソフトランディングを実現する上で、滑走路が足らなくなってきていることは確実だとし、その証左として、債券市場の混乱を指摘した。
同氏はブルームバーグテレビジョンで、「米2年債利回りがミーム株のように動き始める時は、何らかの問題があるはずだ。金融当局が利上げしても過ちとなり、それほど遠くない将来に利下げに踏み切ると債券市場はみている」と述べた。
外為
ドル指数は狭いレンジ内でもみ合い。欧州銀行株の上昇につれてユーロは上げた。一方、利回り上昇は円を圧迫。対ドルで一時、1ドル=132円63銭まで下落した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1240.98 | -0.36 | -0.03% |
ドル/円 | ¥132.48 | ¥1.16 | 0.88% |
ユーロ/ドル | $1.0769 | $0.48 | 0.45% |
米東部時間 | 16時54分 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシニア通貨アナリスト、リー・ハードマン氏はリポートで、「ユーロの最近の動きは欧州の銀行株との関係が引き続き強い」と指摘。「FOMCが米銀行セクターの緊張にもっと敏感になり、状況が落ち着くまで追加利上げを遅らせば、今後1週間にユーロは対ドルでさらに強含む可能性がある」と語った。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続伸。2月初旬以来の大幅高となり、主要なテクニカル水準を回復した。米政府が銀行預金者を守ると約束し、市場が落ち着いたことが背景にある。
イエレン米財務長官は、中小規模の金融機関が経営難に陥った場合、政府は預金者保護のために最近取った思い切った措置を繰り返し講じ得ると表明。ロシアが原油減産を6月末まで続けると明らかにすると、原油は上げ幅を拡大した。
イエレン長官、政府は再び「介入」へ-中小銀行の保護で必要なら (1)
ロシア、宣言通りの原油減産を6月末まで継続する-ノバク副首相
マッコーリー・グループのグローバル石油・ガス担当ストラテジストスト、ビカス・ドウィベディ氏は22日の米金融政策決定とそれが経済環境に及ぼすと見込まれる影響が、原油価格をさらに動かす可能性が高いと指摘。「こうした大きなマクロ要因が実際に峠を越え始めれば、原油は上昇するだろう」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は、前日比1.69ドル(2.5%)高い1バレル=69.33ドルで終了。4月限はこの日が最終取引。ロンドンICEの北海ブレント5月限は1.53ドル(2.1%)高の75.32ドル。
金
ニューヨーク金相場は下落。本格的な金融メルトダウンの懸念は後退し、22日の米金融政策決定に市場の注目は移っている。
この日はリスク選好ムードで米株式相場が上昇し、債券は下落。米2年債利回りが急上昇したことから、金利を生まない金が圧迫される格好となった
TDセキュリティーズのコモディティーストラテジスト、ダニエル・ガリ氏はFOMC決定を控えた「利益確定の動き」で金価格が圧力を受けていると指摘。「オンス当たり1950ドル割れでは一定の売りが見られるかもしれないが、力強い現物需要と投資資金フローの回復が相まって、大きな下げは回避されるだろう」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、前日比2.1%安の1オンス=1958.30ドルで終了。スポット価格はニューヨーク時間午後2時40分現在、1.9%安の1940.60ドル。
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