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概要:マーク・スピッツナーゲル氏はテールリスクをヘッジするビジネスで話題を呼ぶ名人だ。テールリスクを意味する「ブラック・スワン」という言葉を生み出した本人、ナシム・タレブ氏とのパートナーシップや「金融史上最大の一触即発の時限爆弾」についての警告で、同氏のユニバーサ・インベストメンツがウォール街のスポットライトから遠ざかることはめったにない。
市場不安高まる中でポートフォリオ保護戦略に強い関心
タレブ氏がアドバイザー務めるユニバーサ、リターン計算方法に批判
最新の論争はスピッツナーゲル氏の1月の顧客宛て書簡をきっかけにツイッター上で始まった。同氏はユニバーサのヘッジスタイルを自画自賛し、同社ファンドへの少額の資金配分は「利率114%の年金」のようなものだと論じた。
「意味を成さない」
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年3月の同社リターンが3612%だったことを考えると、114%は大したことはないかもしれないが、ワインスタイン氏やカウフマン氏は見過ごせなかった。
カウフマン氏は、ユニバーサの主張は「何一つ意味を成さない」とツイート。自らもテールリスクヘッジの戦略を運用する同氏は、ユニバーサのリターン計算方法を批判。他のいかなるヘッジファンドもテールリスクファンドも、ユニバーサのような計算方法は採っていないと指摘した。
タレブ氏をアドバイザーとするユニバーサは、非伝統的な事業には非伝統的な報告スタイルが適していると反論。同社顧客はユニバーサの投資提案を有用だと考えている。
ユニバーサのブランドン・ヤーキン最高執行責任者(COO)は電子メールで、ユニバーサの戦略の焦点はシステマティックリスクを下げることでポートフォリオのリターンを上げることだと、スピッツナーゲル氏の著書が説明していると指摘。これが重要な指標でありユニバーサは創業以来15年間、これを実践していると主張した。
しかしAQRキャピタル・マネジメントの共同創業者、クリフ・アスネス氏がワインスタイン氏の投稿をリツイートし、テールリスクファンドはそのコストに値するのかとの議論が燃え上がった。
運用者のパフォーマンスを計算する方法は極めて単純だ。利息や配当などの収入プラス値上がり分を運用開始時の資産額で割るとリターンが得られる。
異なる手法
しかしテールリスクファンドは極端なボラティリティーに対する一種の保険であり、市場が混乱した時に利益の出るオプションを購入するのが一般的な手法だ。そうした爆発はまれで予測不可能なため、伝統的なファンドのパフォーマンス計算方法はテールリスクファンドの真の価値を反映しない可能性がある。
そこでユニバーサは異なる手法を使う。
スピッツナーゲル氏が20年4月の顧客宛て書簡で示した3612%はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)やフォーブス、ブルームバーグ・ニュースなどで報じられた。
通常の計算方法ならば、ユニバーサの当時の運用資産60億ドル(現在の為替レートで約8000億円)に対する3612%のリターンは同社顧客にとって2170億ドルの利益を意味する。多くの読者もそう受け取った。しかし実際は、この比率は「必要な投資資本」に対する割合で、つまり資産ではなくポジションを当該期間維持するために必要だった資本に対する割合になる。
ユニバーサの方法は、火災保険で受け取った額をそれまでに支払われた掛け金の総額ではなく1カ月分の掛け金に基づいてリターンを計算するようなものだ。しかし同社顧客は通常、保険金を受け取る前に何年も掛け金を払い続けている。
元シタデル幹部のカウフマン氏は電話インタビューで「本当とは思えないほど素晴らしく見えるものは恐らく、本当ではない」と述べた。
必要資本
ブルームバーグ・ニュースが取材した8人の現・元テールリスク運用者のうち7人は、より伝統的なリターン計算方法を採用していると述べた。ただ、何人かはそれが必ずしもテールリスクファンドに適してはいないとの考えを示した。6人は「必要な投資資本にするリターン」は業界で標準の数値ではないと述べた。1人はそれと類似の計算方法を採っているが、同時にヘッジ対象ポジション全体に対するリターンも公表していると述べた。
テールリスクファンドは主にデリバティブ(金融派生商品)を売買するため、必要資本は通常ファンドよりはるかに少額だ。ユニバーサはオプションの買いと売りを組み合わせるため必要資本はさらに少ない。保険料は保護対象のポートフォリオに対して平均で年1.7%程度だと、匿名を条件に語った関係者が述べた。
市場が静かな間に資金が減少すると、テールリスクファンドは追加支払いを顧客に求めることもあるかもしれない。大事件が起こって支払いを受けた顧客は資金を再投資することは想定されていない。
ライオンクレスト・アドバイザーズのマネジングディレクター、アレックス・ダンシー氏は「基本的に、5年か7年に一度シャンパンを抜くチャンスがあると期待すればいいと人々に伝えている」と述べた。
ユニバーサの1月の書簡によると、資金の98%をS&P500種株価指数に、2%をユニバーサに投資した人は過去15年の平均で年間11.8%の利益を得ることができた計算だ。S&P500種のリターンは9.6%。
これは、ユニバーサに割り当てた2%が「利率114%の年金」に相当することを意味すると、スピッツナーゲル氏はブルームバーグ・ニュースが確認した書簡で説明している。
より良い方法がある
ユニバーサのようなパフォーマンス評価の複雑さを一因に、競合ファンドはテールリスクファンドを厳しく批判し、ポートフォリオを守るより良い方法があると主張する。
AQRのアスネス氏ら懐疑派は、オプションを常時ローリングし続けて保険を維持するコストは長期的には高過ぎるものになると指摘。また、昨年の利上げの中での株価下落ではボラティリティーがテールリスクファンドの支払いの引き金になるほどには高まらず、分散投資の方が株価下落に対する良いヘッジになった。
36サウス・キャピタル・アドバイザーズで22年間テールリスクをヘッジしてきたジェリー・ヘイワース氏は、テールリスクファンドについて説明し、擁護するのは難しいことを理解しているとした上で、運用会社はある1カ月のパフォーマンスをあまり売り込むべきではないと話す。
「テールリスクファンドにせよ他のファンドにせよ、期間や資産クラス、商品を取捨選択して投資リターンを売り込むべきではない」と同氏は述べた。
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