訂正：生損保が今年度最大の買い越し、海外勢は減速＝9月国債売買高

(日本証券業協会の申し出により、本文中の数値を訂正します。)

［東京 ２０日 ロイター］ - 日本証券業協会が２０日発表した９月公社債店頭売買高（国債）によると、生損保の超長期債買い越し額が７９７８億円（訂正）と２０２１年度で最大となった。都銀も中期債を中心に２兆円超の買い越し。一方、外国人投資家は大きくペースダウンした。

生損保の９月の超長期債買い越し額は今年２月の８４５８億円以来の高水準。今年度は７月まで２０年度の平均買い越し額６３４４億円を下回るペースが続いていたが、８月（６６２１億円）以降、ペースアップしてきている。

市場では「超長期債の金利水準が上昇したことで、今年度やや低かった買い越しペースを上げてきているのではないか」（三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、稲留克俊氏）との見方が出ている。

買い越し額トップは都銀。トータルで２兆２３２６億円（訂正）と、１８年８月の２兆２８３４億円以来の高水準となった。超長期債を１１１３億円（訂正）売り越したが、長期債を８８３６億円（訂正）、中期債を１兆４６０３億円（訂正）買い越した。

信託銀行はトータルで４４６４億円（訂正）の買い越し。中期債を１６５３億円（訂正）売り越したが、超長期債を３３０４億円（訂正）、長期債を２８１３億円（訂正）、買い越した。国内年金のリバランスとみられる動きで、７月まで高水準の買い越しが続いていたが、８月（２４５０億円）、９月とペースダウンしている。

地方金融機関（地銀、第２地銀、信用金庫）はトータルで９７６１億円（訂正）の買い越し。今年２月の１兆３５０４億円以来の高水準となった。超長期債を５３８２億円（訂正）、長期債を４３７９億円（訂正）買い越した。

一方、外国人投資家はトータルで３３７７億円（訂正）の買い越しと急減速。４─８月まで１．８─４．０兆円の大幅買い越しが続いていた。超長期債を４０１４億円（訂正）、中期債を７２３０億円（訂正）買い越したが、長期債を７８６７億円（訂正）売り越した。「国債増発懸念や金利上昇懸念、海外債へのシフトなどの要因が考えられる」（稲留氏）という。

９月の円債市場は金利が上昇した。８月末に０．０２０％だった新発１０年債利回り

（長期金利）は一時０．０７０％に上昇。世界的な物価高止まりへの懸念が広がったほか、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で利上げ予想時期が前倒しされたことで、米金利が上昇。日本でも自民党総裁選期間中に財政拡張懸念が強まった。

◎国債投資家別売買高（国庫短期証券を除く。億円）は以下の通り。

利付国債買越額 超長期債買越額 長期債買越額 中期債買越額

都市銀行 22326 ▲ 1113 8836 14603

地方銀行 5279 2617 2662 0

信託銀行 4464 3304 2813 ▲ 1653

農林系金融機関 ▲ 1995 ▲ 2069 59 15

第二地銀協加盟行 686 88 598 0

信用金庫 3796 2677 1119 0

その他金融機関 3122 1473 1549 100

生保・損保 8310 7978 176 156

投資信託 1584 ▲ 132 818 898

官公庁共済組合 119 118 1 0

事業法人 228 228 0 0

その他法人 480 323 157 0

外国人 3377 4014 ▲ 7867 7230

個人 ▲ 15 0 ▲ 14 ▲ 1

その他 ▲ 41093 ▲ 21804 ▲ 7072 ▲ 12217

債券ディーラー 24 ▲ 237 75 186

合 計 10692 ▲ 2535 3910 9317

＊２０日に配信した記事で、日本証券業協会の申し出により、本文中の数値を訂正します。